
日本で大きな関心を寄せられている” 食 ”に関する問題、「フードロス」。
フードロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと。
国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界では年間13億トンものフードロスが発生しています。
これは全世界で生産されている食品の約3分の1に相当し、世界中の飢えている人の倍以上の人々に食事を提供できるほどの量です。
日本のフードロスは、612万トン。
これは東京ドーム約5杯分に相当し、1人あたり1日お茶碗1杯分を捨てていることに…
食べ物を捨ててしまうのはもったいないだけでなく、地球環境にもたくさんの悪影響及ぼしています。
今回は、フードロスによる問題や、対策についてご紹介します。
フードロス問題

世界では8億人以上、約9人に1人が十分な量の食べ物を口にできず、栄養不足で苦しんでいます。
そのような中で、日本の食料自給率は先進国の中でも低く(38%)、多くの食べ物を海外からの輸入に頼っています。
日本は大量に輸入を行い、まだ食べられる食べ物をたくさん捨てているのが現状です。
日本でのフードロスの原因は、大きく分けて2つ。
◇ 事業系フードロス(328万トン)
スーパーやコンビニなど小売店での売れ残りや返品、飲食店での食べ残し、売り物にならない規格外品など
◇ 家庭系フードロス(284万トン)
家庭での食べ残し、買ったのに使わずに捨ててしまう食品など
《 家庭系フードロス内訳 》
・食べ残し 57%
・食品の劣化 23%
・賞味 / 消費期限切れ 11%
フードロスの問題

食品ロスを放置すると、大量の食べ物が無駄になるだけでなく、環境悪化や将来的な人口増加による食料危機にも適切に対応できません。
食品ロスの削減は、先進国にとっても途上国にとっても、避けて通れない喫緊の課題となっています。
◇ 環境への負荷
廃棄された食料の生産やごみ処理において発生する温室効果ガスの量(二酸化炭素換算値)は33億トン。
これは世界の温室効果ガス排出量の約8%を占めます。
◇ 資源の無駄遣い
世界で利用されている水のうち、約70%が食料生産に使われ、その3分の1が廃棄される食料のために使われています。
国連食糧農業機関は、フードロスのために世界の農地の30%近くが使われていると報告しています。
フードロス削減に向けた世界の取り組み

世界でもフードロス問題は深刻化をたどる一方で、国連や各国政府は食品ロス削減に向けて具体的な数値目標を掲げ、効果的な方法を探っています。
ヨーロッパ諸国では、廃棄処分対象になった食品のみを扱ったスーパーマーケットや廃棄予定の食品を活用したレストランが開かれるなど、食品廃棄物をビジネスに転換する動きが高まっています。
◇ フランス
2016年にスーパーマーケットで食品を廃棄することを禁止。
売れ残りの食品は寄付、又は飼料などに転用することが義務付けられています。
◇ オーストラリア
規格外で廃棄される予定の食品のみを集めたスーパー「OzHarvest」。
商品には値札がついておらず、消費者が値段を決めるというユニークさ。
働いている人はすべてボランティアで、ほかにも廃棄される食品を回収し、フードトラックで販売したり、必要な人に配る活動などを行っています。
◇ スペイン
余剰食品をシェアする連帯冷蔵庫プロジェクト。余剰食品や賞味期限の近づいた食品をこの冷蔵庫に入れ、誰でも取り出すことが出来ます。
冷蔵庫の中身はボランティアによって定期的にチェックされます。
日本でのフードロス対策

日本では、フードロス削減に向けたアプリサービスを展開しています。
◇ TABETE
飲食店でつくりすぎてしまったパンやお惣菜、予約のキャンセルが出てしまった食事などを購入できるサービス。
◇ Reduce Go
飲食店の余剰食品が一覧で表示され、好きなものを購入できるサービス。月額1,980円で毎月2回まで注文可能。
◇ NoFoodLoss
消費期限が近くなったり規格外などの理由で廃棄されてしまう商品に対してお店がクーポンを発行し、お得に購入できるアプリ。
日本では事業系食品ロスを、2030年度までに2000年度比で半減するとの目標を立てています。
同様に、家庭系食品ロスについても2030年度までに半減させる目標を設定しています。
私たち一人ひとりが身近なところから食品ロス削減を意識することが、目標達成には必要不可欠です。
(参照)