グルテンフリーの基本

Saori Takashiro2020.12.25

欧米で流行し、日本でもますます浸透してきているグルテンフリー。

元々はプロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手のようなセリアック病の患者さんのための食事療法でしたが、最近では身体に負担が少ない食事法としても注目を集めています。

今回はグルテンとは何か、グルテンを避けるようになった背景についてご紹介します。

グルテンってなに?

「グルテン」とは小麦などに含まれるタンパク質の85%を占める「グリアジン」と「グルテニン」が水分と一緒に混ぜられることによってできるタンパク質です。

パンやケーキ、麺類の粘り気や弾力のある食感はグルテン形成によるものです。

 

どうしてグルテンを避けるようになったの?

アメリカやヨーロッパでは

・セリアック病

(遺伝性の自己免疫疾患でグルテン摂取による腸の炎症が起こり、栄養素の吸収不全を引き起こす)

・グルテン過敏症/不耐症

(遅延性の腸の炎症疾患。疲労、頭痛、腹部膨満感、下痢症状などを引き起こす)

などのグルテン関連疾患の患者さんが増えていたり、健康的な食事スタイルを取り入れたい人々の間でもグルテンフリーへの注目が高まっています。

 

日本におけるグルテンに関する臨床研究はまだまだ少ないですが、

・内科疾患患者において0.7%のセリアック病症例があった

・炎症性腸疾患の患者においてセリアック病症例はなかったが、グルテン不耐症が見られた

など、日本人でもグルテンによる腸内環境への影響がある可能性も示唆されています。

その他、若い女性に多い原因不明の「過敏性腸症候群(IBS)」にグルテンが影響している可能性や、医学的コンセンサスは得られていませんが、グルテンによって腸壁バリアが崩れてしまう「リーキーガット症候群」の存在を唱える医師もおり、グルテンと腸内環境については今後さらに研究が進んでいく分野だと考えられます。

「腸は第二の脳」とも呼ばれる健康を左右する臓器。

腸内環境を整えることは体を内側から整える上で重要なポイントです。

グルテンフリーの食事を取り入れることで胃腸の不調、疲れやすさ、頭がすっきりしないなどの症状が改善されたという体験談も多いですね。

もし原因不明の体調不良が続くときは、一度自分の食生活を振り返ってみましょう。

 

出典

1.渡辺千佳子ほか、日本のIBD患者における血清セリアック抗体の有病率.2006

2.中澤英之ほか、本邦におけるセリアック病の頻度に関する検討.2014

3. Jessica R Biesiekierski 他, Gluten causes gastrointestinal symptoms in subjects without celiac disease: a double-blind randomized placebo-controlled trial,Am J Gastroenterol,2011 

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