
普段私たちが使っているプラスチック製のペットボトルや容器。
ポイ捨てされたり適切な処分がされず海に流され、半永久的に残り続けるマイクロプラスチックは、人間の体にも影響を与えることが危険視されています。
このままプラスチックごみが増えると、プラスチックごみの量は世界中で年間800万トンに及び、2050年には海に生息する魚の重さよりもごみの重さの方が大きくなると試算されています。
そんな中、日本のプラスチックリサイクル率は84%と高い数字であることが発表されています(2018年)。
嬉しいことです… が、この数字にはちょっとしたからくりがあります。
今回は、日本のプラスチックリサイクルの現状と対策についてご紹介します。
日本のプラスチックリサイクル率84%! でも実は...

日本のプラスチックリサイクル率は84%と一見高い数値のように思われますが、実は、その約6割はプラスチックを燃やして、その熱をエネルギーに利用することに使われています。
一般的に「リサイクル」と聞いてイメージされるような、別の商品に利用されたり、新しいプラスチックに生まれ変わるものは3割にも届いていません。
日本のプラスチックリサイクル方法

日本で行われているプラスチックリサイクル方法は3つあります。
① マテリアルリサイクル
砕いたり溶かして別のプラスチック商品へと生まれ変わらせる方法。
リサイクルされるたびに分子が劣化していってしまうので、品質が悪化していってしまいます。
② ケミカルリサイクル
新技術で科学的に分子にまで分解してから、化学原料として新しいプラスチックに再生する方法。
品質は高いですが、大規模な工場が必要なため資金やエネルギーが発生します。
③ サーマルリサイクル
廃棄プラスチックを燃やして、その熱をエネルギーに利用する方法。
「サーマルリサイクル」とは日本で作られた和製英語で、プラスチックごみを単に燃やしてエネルギーとして活用しています。
海外では「サーマルリカバリー」と呼ばれており、とくに欧米では「サーマルリサイクル」をリサイクルととらえていません。
サーマルリサイクルの問題点

国内データでは、サーマルリサイクルも含めているため、8割のプラスチックごみをリサイクルしていることになっていますが、サーマルリサイクルを認めない海外基準に照らし合わせると、日本のリサイクル率は2割台になってしまいます。
また、再利用というよりは焼却処分に近いサーマルリサイクルには、以下のような問題点が挙げられます。
✔ 微量のダイオキシンの発生
✔ 燃焼後に残る強い毒性の灰
✔ 鉛や水銀の生成
廃棄場での安全性も整っていない場合があります。
燃焼の対象や周辺環境など条件によってサーマルサイクルの良し悪しは変わってくるため、一概には判断できないのが現状です。
リサイクルからリデュース
(プラスチックフリー)へ

従来プラスチック製品を生産・使用してきた企業の側も、環境問題への対策を取り始めるようになりました。
プラスチックごみを削減するために、プラスチック製品の使用を控えたり、リサイクル品の使用率を高めるなどの取り組みを行う国内企業が続々と増えています。
🌼 スターバックス
・プラスチックストローの使用禁止
・一部アイスのプラカップを紙カップに変更
🌼 IKEA
・ストローや保存袋など、使い捨てプラスチック
製品7種類を全廃
🌼 マクドナルド
・プラスチック製のストローを紙製のストローに
切り替え
・ハンバーガーの包装紙や箱などのパッケージ類
をリサイクル可能な資源に切り替え
まとめ

プラスチックの大本は石油などの有限の資源によるものです。
有限だからこそ、プラスチックの廃棄物を再び資源として活用することができれば、資源確保、廃棄物処理、海洋ごみ対策などさまざまな課題の解決に貢献することができます。
リサイクルの課題を私たちがすぐに解決することは難しいかもしれませんが、まずはできる範囲でプラスチックを減らしていくこと。
持続可能な社会を実現し、次世代に豊かな環境を引き継いでいくために、リサイクルの実情を知ることで日々の生活を変えるきっかけになれば嬉しいです。
(参照)