
1999年~2017年までの過去18年間で、世界のオーガニック食品の売上は約6倍に拡大しています。
世界ではアメリカやヨーロッパを中心に、様々な取り組みをしている中、日本ではまだオーガニックの浸透が浅く、オーガニック後進国とも呼ばれています。
今回は、日本がオーガニック後進国と言われるその背景と、オーガニック先進国が懸念している農薬の危険性、各国の取り組みについてご紹介します✨
1. 日本のオーガニック市場

2017年度 世界のオーガニック食品市場 約10.7兆円
*FiBL(有機農業研究機関)とIFOAM(国際有機農業運動連盟)の調査
1位 アメリカ 約4.88兆円
2位 ドイツ 約1.22兆円
3位 フランス 約9,664億円
...
13位 日本 約1,719億円
日本のオーガニック市場の状況は、他の先進国に比べ、約10年タイムラグがあると言われています。
2. 日本でオーガニック作物を作るのが難しい理由

日本でオーガニック作物を作るのが難しい理由は以下のような点が挙げられます。
・耕作可能な土地の不足高温多湿雨などの気候
(*国際連合食糧農業機関報告)
他にも、
・消費者のニーズが高くないので販路が確保できない
・形が整った綺麗な野菜が日本人は好むため、農薬を使わざるを得ない
など消費者にも原因が。
3. 農薬による健康被害

オーガニック食品をよく食べる人は、そうでない人に比べ、がん罹患率が25%低下するという研究結果が発表されました。
*2018年「JAMAインターナショナル・メディスン」内の論文
除草剤に含まれる有効成分「グリホサート」は「おそらく発がん性がある」と発表され、世界で「発がん性」があると問題になった農薬を日本では使い続けています。
*2015年世界保健機関の専門機関IARC(国際がん研究機関)
また、2018年には、米国カリフォルニアで末期がん患者の男性が、除草剤の使用が原因で悪性リンパ腫が発生したとする訴えを起こしました。
農薬大手モンサントに損害賠償金約320億円の支払いを求めたことにより、巨額訴訟として注目を集めただけでなく、農薬に対する懸念が高まりました。
4. 農薬による環境被害

フランスで観察された87%の川に、最低でも1種類の農薬が含まれていたという報告もあります。
*フランス「ル・モンド・ディプロマティーク」紙調べ
農薬による大気汚染や生態系へなど幅広い分野への影響が懸念されています。
日本を含む世界各地で、ミツバチの大量死と、殺虫剤ネオニコチノイド系農薬に関係性があると指摘。(米、お茶、野菜、果物などの栽培に使用)
2016年に日本国立環境研究所が、殺虫剤「フィプロニル」によってトンボへ悪影響が出たとの研究結果を発表。
5. 世界のオーガニックに関する取り組み
フランス

2018年、学校給食など公共食堂で使用する食材のうち最低でも2割をオーガニックにする法律が成立。
2022年までに給食で使う食材の50%をオーガニックにすることを法律で定めると発表。
アメリカ

1970年代、農業による土壌汚染が問題視され、農業法の改正によりオーガニック農業を重視。
1990年代、オーガニック食品市場が10億ドル規模に拡大。
2002年、オーガニック生産基準や認証システムが整備。
アメリカでは、1970 年代に農業がもたらす土壌汚染が問題視されて以降、農業法の改正では有機農業が重視されました。
6. 日本のオーガニックに関する取り組み

農林水産省は、環境負荷の少ない持続可能な農法の実現に向け、有機農業の面積を2050年までに国内の農地の25%にあたる100万ヘクタールまで拡大する目標を設定。(2018年時点 2万3700ヘクタール)
私たち消費者もオーガニック食材を取り入れることで、この動きに貢献できます。
(参照)
オーガニック後進国・日本にはびこる「国産商品は安全」という神話 - 西川彩奈 (blogos.com)
無農薬栽培はなぜ難しい?日本で普及しない理由とは | プロラボファーム (prolabo-farm.com)
オーガニック後進国・日本にはびこる「国産商品は安全」という神話 - 西川彩奈 (blogos.com)
発がん疑惑の除草剤巡る米巨額訴訟、1兆円で和解 日本でも懸念強まる(猪瀬聖) - 個人 - Yahoo!ニュース
仏、2022年までに給食食材の半分をオーガニックに | SUSTAINABLE BRANDS JAPAN